eBay輸出において開業届の提出は大事な手続きです。
「開業届ってなんか難しそう」
「どうやって提出すればいいのかわからない」
など、不安に感じている方も多いことでしょう。
この記事では、開業届に関する以下の点について詳しく解説します。
- eBayにおける開業届の目的と重要性
- 開業届を提出するタイミング
- 開業届のメリットとデメリット
- 開業届の書き方と提出方法
- 開業届と合わせて提出すべき申請書
eBay輸出を行う上で、開業届を提出しておけば様々な優遇措置を受けられるので、速やかに提出することをおすすめします。
これからeBay輸出に挑戦する方は、本記事を参考に開業届を提出してみましょう。
eBay 開業届の目的と重要性について
eBay輸出を始める際、開業届の提出は重要な手続きです。開業届は事業開始を税務署に届け出る書類で、提出することで正式に個人事業主として認められます。
また、青色申告や消費税還付の申請、国際配送業者(クーリエ)との契約など、eBay輸出で収益を上げるのに必要不可欠と言えるでしょう。
ここからは、開業届の目的や提出のタイミングについて詳しく解説します。
開業届を提出する目的
開業届を提出する主な目的は、以下の4点です。
- 事業開始の届出
事業を始めたことを税務署に正式に報告します。これにより、所得税の納税義務が発生します。 - 青色申告の申請
開業届と同時に青色申告承認申請書を提出することで、節税効果の高い青色申告を行うことができます。 - 事業の信用度向上
開業届を提出すると、取引先や金融機関に対して事業の実態を示すことができ、信用度が向上します。 - eBay輸出の円滑化
DHLやFedExなどの国際配送業者(クーリエ)と直接契約を結ぶことが可能になり、海外発送をスムーズに行えます。
納税・節税・信用度向上・eBay輸出の円滑化は、どれもeBayを始める際に必要になる重要な要素なので、開業届を提出することは必須です。
副業でも開業届を出した方が良い!
副業でeBayを始めた場合、開業届を提出しようか迷っている人も多いと思います。
- 会社勤めをしながら、副業でeBay輸出を始められた方
- 年金を受給しながら、eBay輸出を事業として始められた方
結論として、今後も継続的に収益を得ていく予定であれば、開業届を提出されるのが望ましいです!
もし迷っている場合は、以下の点を開業届提出の判断基準にしてみるのも良いですよ。
- eBay輸出で収益が継続的に発生している場合
※事業と認められる場合は、原則提出が必要になります - 所得金額(売上から経費を引いた金額)が20万円を超えた場合
※副業の所得が20万円以下の場合、所得税は課税されません(住民税は課税されます) - 社会的な信用を得たい場合
※開業届を出していると取引先(仕入先など)からの信用度が上がる可能性がある - 事業用の銀行口座を開設したい場合(個人の口座と分けて管理した場合)
※事業用の口座は、開業届が無いと開設できません
開業届は提出が義務付けられていますが、税法上提出しなくても罰則はありません。
開業届を提出するタイミング
開業届は、法律上事業開始日から1ヶ月以内に提出することが定められていますが、実際には提出が遅れても罰則はありません。
一般的な提出タイミングは、以下のとおりです。
- 事業開始時:原則として、事業を開始した日から1ヶ月以内に提出します。
- 所得が一定額を超えた時:副業の場合は所得20万円超、専業の場合は所得48万円超で提出します。
- 年内の適切なタイミング:遅くとも事業を始めた年の12月31日までには提出しましょう。
開業日の決め方に明確なルールはないですが、事業準備を始めた日や最初の仕入れを行った日などが一般的です。
eBay輸出であれば、eBayのアカウントを登録したタイミングや最初の売上が発生した時に、開業届を提出すると良いでしょう。
また、青色申告を行う場合は、開業日から2ヶ月以内に青色申告承認申請書の提出が必要になるのでご注意ください。
eBay 開業届のメリットとデメリット
eBay輸出を始めるにあたって、開業届提出のメリット・デメリットを把握することも重要です。
メリットは、青色申告による節税効果や、国際配送業者(クーリエ)との直接契約が可能になるなど、eBay輸出をスムーズに進められる点、一方で確定申告の義務や社会保険の変更など、デメリットもあります。
ここからは、eBay輸出における開業届提出のメリット・デメリットについて詳しく解説します。
開業届提出によるメリット5選
eBay輸出において、開業届を提出することには多くのメリットがあります。
開業届提出による主な5つのメリットは、以下のとおりです。
項目 | 内容 |
---|---|
1、eBayビジネスアカウントの登録 | 始めからもらえるリミット数(販売上限)が大きい ※開業届を出していないとパーソナルアカウントしか作れない |
2、青色申告の適用 | 最大65万円の特別控除が受けられ、節税効果が高くなる |
3、国際配送業者との直接契約 | DHLやFedExなどと個人契約し、配送コスト削減につながる |
4、消費税の還付 | 課税事業者になることで輸出に関わる消費税の還付申請が可能になる (収益性が向上) |
5、事業用銀行口座の開設 | 屋号での口座開設が可能(個人と事業の収支を明確に分別) |
6、信用力の向上 | 取引先や金融機関に対して事業の実態を示すことができ、融資や取引の際に有利になる |
eBayでアカウントを作成する際は、ビジネスかパーソナルを選択しなければなりません。ビジネスを選ぶには開業届が必要になります!
いずれのメリットも、みなさんの事業の収益性を押し上げる効果が高いと言えるでしょう。
開業届提出によるデメリット3選
eBayにおいて開業届を提出する際は多くのメリットがありますが、同時にいくつかのデメリットもあるので、事前に把握しておきましょう。
開業届提出によるデメリットを3つご紹介します。
項目 | 内容 |
---|---|
1、確定申告の義務 | 確定申告が必要となり、会計処理や書類作成の手間が増える ※本業以外の所得が年間20万円未満は、確定申告不要 |
2、社会保険の変更 | 扶養に入っている場合、国民健康保険や国民年金への加入が必要になる |
3、失業保険の受給資格喪失 | 会社員から転職した場合、失業保険を受給できなくなる |
eBayのパーソナルアカウントだと、リミット数が小さくて大きな収益を上げることは難しいでしょう!
以上のデメリットは、eBay輸出に関わらず個人事業主になった場合に、必ず行わないといけない項目です。
たった10分で完成するeBay開業届の書き方
開業届は準備がしっかりできていれば10分程度で作成できます。オンラインツールを活用すれば、さらに効率的に作成できるでしょう。
ここからは、開業届を作成する際のポイントについてご紹介します。
- 必要書類の準備
- 各項目の記入方法
- よくある記入ミスと注意点
それではひとつずつ見ていきましょう。
必要書類の準備
開業届の作成を始める前に、以下の書類を準備しましょう。
- 開業届用紙
・国税庁のウェブサイトなどからダウンロードし印刷する
・最寄りの税務署で直接入手する - 本人確認書類
・マイナンバーカードや運転免許証のコピーを用意する - その他
・印鑑
・送付用封筒、返信用封筒(郵送で送付する場合)
また、開業時の状況に応じて、「青色申告承認申請書」「青色専従者給与に関する届出書」も必要になります。書類を事前に準備しておけば、スムーズに開業届を作成できるでしょう。
各項目の記入方法
開業届の記入方法について、実際に記入する用紙を参考にしながら解説します。
記入する箇所は全部で12箇所だけなので、案外あっさり作成できますよ。
- 管轄の税務署名と提出日を記入する
※管轄の税務署がわからない場合は、「国税局・税務署を調べる」にて検索できます
- 納税地を選択し、住所を記入する
- 納税地以外に住所地・事業所等ある場合は記入する
- 事業者の氏名、生年月日を記入する
- マイナンバー(個人番号)、職業、屋号を記入する
※屋号は任意記入です
- マイナンバー(個人番号)、職業、屋号を記入する
※屋号は任意記入です
- 所得の種類(eBay輸出の場合は事業所得)を選択する
- 開業日を記入します
※eBay輸出の事業の準備を始めた日や最初の仕入れを行った日などが一般的
- 「青色申告承認申請書」「課税事業者選択届出書」を同時に提出する場合に選択する
- 事業内容を簡潔に記入します
※個人事業主としてeBay輸出をやられる場合は、中古品リサイクル業や貿易事業など、事業内容を具体的に記入しましょう
従業員がいる場合、人数や給与支払いの状況を記入する
提出の有無を選択する(基本は無でOK)
給与支払いがあれば、開始日を記入する
以上が、記入する項目になります。「たったこれだけ!?」と思われた方も多いのではないでしょうか。
だから、10分もあれば開業届は作れてしまうというのは、本当なんです!
ただし、記入する際は各項目の説明や国税庁の「個人事業の開業届出・廃業届出等手続 書き方」を参考に、正確な情報を記入してください。
なお、不明点があれば積極的に税務署に相談するのもいいですよ。
よくある記入ミスと注意点
開業届作成時によくある記入ミスと注意点は以下のとおりです。
■記入ミス
- 開業日の誤り:実際の事業開始日と異なる日付を記入
- 納税地の誤記:自宅住所と事業所住所を反対に記入
■注意点
- 所得の選択ミス:不動産所得など他の所得を選択しないように注意
- 漠然とした記述:自営業など漠然とした職業ではなく、「中古品リサイクル業」など業態を表すものとする
- 個人番号の記載漏れ:マイナンバーの記入がされていない
- 提出先の誤り:複数税務署がある場合、選択間違いには注意
※管轄の税務署がわからない場合は、「国税局・税務署を調べる」で検索できます
項目自体に難しい箇所はありませんが、記入ミスや誤った選択をしたまま開業届を提出すると、受理されませんのでご注意を!
eBay 開業届を提出する3つの方法
開業届の提出方法には、税務署への直接提出、郵送での提出、e-Taxを利用したオンライン提出の3つがあります。
直接提出は即時対応が可能、郵送は手軽、e-Taxは24時間利用可能など、それぞれに特徴があるので各方法の詳細と注意点を理解し、最適な提出方法を選択しましょう。
ちなみに私は「e-Taxを利用したオンライン提出」の方法で申請しました。なかなか時間の取れないお忙しい方におすすめです!
- 税務署に出向かなくても良い(本業をしていて平日に時間の取れない方におすすめ)
- 全ての作業が、自宅に居ながらパソコン1台で完結する
ただし、開業届の控えがもらえないので、しっかり申請が受理されたのか確認する必要はあります。
それでは3つの申請方法を詳しく解説していきます。
方法①:税務署に出向き直接提出
税務署に直接出向いて開業届を提出する方法は、以下の手順で行います。
手順 | 内容 |
---|---|
1、必要書類の準備 | ・開業届(原本と控えの2枚) ・本人確認書類(マイナンバーカード等) ・印鑑(訂正が必要な場合に使用) |
2、管轄の税務署を確認 | ・納税地は住民票がある住所 ※国税庁の「税務署の所在地などを知りたい方」から検索可能 |
3、税務署に訪問 | ・営業時間(通常8:30〜17:00)内に訪問 |
4、窓口で書類を提出 | ・必要書類を提出 |
5、受付印の押印 | ・問題がなければ、開業届の控えに受付印が押される |
直接提出するメリットとして、提出後すぐに受付印のある控えをもらえるため、確実に手続きが完了したことを確認できます。
不明な点があっても、すぐに窓口で問い合わせできるのも良い点ですね。
方法②:郵送で提出
郵送での開業届提出は、以下の手順で行います。
手順 | 内容 |
---|---|
1、必要書類の準備 | ・記入済みの開業届(原本と控えの2枚) ・本人確認書類のコピー ・送付用封筒と返信用封筒 |
2、返信用封筒の準備 | ・自分の住所を記入し、切手を貼った返信用封筒を同封する |
3、提出書類の確認 | ・開業届の原本と控え、本人確認書類のコピーを封筒に入れる |
4、郵送 | ・管轄の税務署宛てに簡易書留などの追跡可能な方法で郵送する |
5、控えの受け取り | ・数日後、受付印が押された控えが返送される |
郵送での提出方法は、税務署に出向く時間が節約できます。
ただし、不備があった場合に再度提出し直さなければならないため、書類は慎重に作成しましょう。
方法③:e-Taxを利用したオンライン提出
e-Taxを利用したオンライン提出は、以下の手順で行います。
手順 | 内容 |
---|---|
1、e-Taxの利用準備 | ・マイナンバーカードとICカードリーダーを準備する ※マイナンバーを読み取れるスマホでも可 |
2、e-Taxの利用登録 | ・e-Taxの利用者識別番号を取得する |
3、電子証明書の準備 | ・マイナンバーカードの電子証明書を使用 |
4、e-Taxソフトへのログイン | ・取得した利用者識別番号と電子証明書を使ってe-Taxソフトにログイン |
5、開業届の作成 | ・e-Tax上で開業届を作成する ※会計ソフトでも開業届を作成できます |
6、電子署名とデータの送信 | ・作成した開業届データに電子署名を付与し、e-Taxシステムを通じて送信する |
7、受付確認 | ・送信後、e-Taxのメッセージボックスで受付完了メールを確認する |
e-Taxのメリットは、24時間いつでも提出できることです。また、書類の郵送や税務署への訪問が不要で、自宅で手続きが完結します。
なお、e-Taxで手続きした場合、開業届の控えはもらえないので以下の点に注意してください。
開業届が受理されたか分からないので、申請後は必ずe-Taxのメッセージボックスへデータ受付完了メールが届いているかを確認してください。
受理されなかったとしても税務署から連絡は来ないので注意してください。
ちなみに私はe-Tax申請で失敗した一人です。申請後に受付メールが届いておらず、直接問い合わせたところ書類に不備がありました。すぐに確認しなかったので、翌年の青色申告が無効に…
e-Taxを利用したオンライン提出については、国税庁「e-Taxの開始(変更等)届出書作成・提出コーナーについて」にて詳細を確認してください。
eBay 開業届と合わせて提出すべき申請書3選
eBay輸出を始める際、開業届だけではなく、他の重要な申請書も同時に提出することをおすすめします。
- 青色申告承認申請書
- 消費税課税事業者選択届出書
- 古物商許可証
以上の書類を提出しておけば、税制上の優遇や円滑な事業運営が可能になります。
ここからは、各申請書の概要と提出のポイントを解説します。
①青色申告承認申請書
青色申告承認申請書は、eBay輸出事業者にとって非常に重要な書類です。その理由は、最大65万円の特別控除をはじめとする様々な税制上の優遇措置を受けられるからです。
ただし、申請する際には注意しなければならない点もあります。
- 新規開業の場合は開業から2ヶ月以内に申請する
- 既存事業の場合は3月15日までに申請する
- 65万円控除を受けるには複式簿記による記帳が必要
※10万円控除の場合は簡易的な記帳でOK
尚、開業届内に「青色申告承認申請書」を申請する欄が設けられているため、一般的には開業届の提出と一緒に申請するケースが多いです。
青色申告を始めると、お金の出入りがはっきりわかるようになって、eBayビジネスの管理がぐっと楽になりますよ。
赤字が出てしまっても、その分を次の年に持ち越せるので、長い目で見ると事業が安定しやすくなるでしょう。
なお、青色申告をしない場合、自動的に白色申告となります。
青色申告と白色申告の主な違いについても把握しておきましょう。
項目 | 青色申告 | 白色申告 |
---|---|---|
申請 | ・必要 | ・不要 |
記帳の仕方 | ・65万円控除の場合:複式簿記 ・10万円控除の場合:簡易簿記 | ・簡易簿記 |
提出書類 | ・確定申告書B ・青色申告決算書 ・損益計算書 ・貸借対照表 | ・確定申告書B ・収支内訳書 |
赤字の繰り越し | ・3年間可能 | ・不可 |
白色申告なら申請は必要ありませんが、その分税制上の優遇を受けることはできないので、eBayをやるなら青色一択です!
②消費税課税事業者選択届出書
eBay輸出を行う事業者にとって、消費税課税事業者選択届出書も重要な申請のひとつです。なぜなら、eBay輸出においてかかった消費税の還付を受けられるからです。
例えば、国内で仕入れた商品を海外に販売するため、仕入れ時に支払った消費税の還付を申請できる場合があります。
なお、申請時の注意点は以下のとおりです。
- 提出期限に注意する
開業初年度は、個人事業主なら開業した前年の年末、法人なら開業した年の決算月末までに提出する - 原則課税方式を選択しなければならない
- 課税事業者になると2年間は継続する必要がある
還付金が返ってくるメリットはありますが、単純に免税事業者ではなくなるため、消費税の納税義務が発生する点には注意しましょう。
③古物商許可証
eBay輸出で中古品を扱う場合、古物商許可証は必須です。中古品を取り扱う場合、古物営業法に基づき都道府県公安委員会から許可を得る必要があります。
まずは、必要書類を揃えましょう。
- 古物商許可申請書
- URLの提出
- 略歴書(法人の場合は役員全員)
- 本籍地記載の住民票の写し
- 誓約書
- 本籍地身分証明書
古物商許可申請書の必要事項を記入したら、地元の警察署へ申請しに行きましょう。全てが上手くいけば、1〜2ヶ月程度で許可証が手に入ります。
古物商許可証を取得できれば安心してeBay輸出ができます。
さらに、お得な古物市場での仕入れも可能になるので、eBay輸出を本格的に始めるならぜひ取得を検討してみてください!
なお、古物商許可証の詳しい取得手順については、こちらの記事も参考になります。
eBay開業届に関するよくある質問(Q&A)
ここからは、よくある質問について回答します。
まとめ
この記事では、eBay輸出を始める際に必要な開業届について解説しました。
- 開業届の目的と重要性
- 開業届を提出するタイミング
- 開業届のメリットとデメリット
- 開業届の書き方と提出方法
- 開業届と合わせて提出すべき申請書
eBay輸出において、開業届の提出は事業を正式に開始する上で重要な手続きです。
青色申告承認申請書や古物商許可証など、関連する申請書の提出も忘れずに行ってください!
これからeBay輸出に挑戦する方々の成功を心より願っています。