
前編に続き、2026年7月16日に開催された「【セラーミートアップ2026】~アカウントヘルス・広告活用セミナー~|eBay Account Health & Ads」について、現地レポートをご紹介します。
本セミナーでは、アカウントヘルスが「悪化した後の対処」ではなく、「予防管理」として捉える考え方が共有されています。
- アカウントヘルスを「予防管理」で守る考え方
- ディフェクト管理の実務ポイントと4つの評価地域
- 特に注意すべき2つのディフェクト(キャンセル・ケース対応)
- 当日寄せられた質疑応答の内容
- ガバメントリレーションズ(GR)の取り組みと今後の政策動向
ディフェクトやケース対応について、すぐに実践できる情報が揃っているので、最後までご確認ください。
なお、【前編】では、広告活用をテーマにした内容を解説しているので、あわせてご覧ください。

アカウントヘルスは「予防管理」が基本

登壇したのは、eBayジャパン株式会社グローバルカスタマーエクスペリエンス部の新山氏です。
同部署はセラービジネスケアなどのカスタマーサポート運用を通じて、セラーの販売活動を幅広く支援しています。
特に強調されていたポイントは、以下のとおりです。
- アカウントヘルスはスコアが悪化してから慌てて直すものではない
- 悪くならないよう毎週チェックし、早めに対処する「予防管理」こそが売上を守る
広告を最大限活かすためには、基礎となるアカウントの健全性が重要になります。
なぜアカウントヘルスが重要なのか|バイヤー視点で考える

同じ商品を複数のセラーが販売している場合、バイヤーは以下のようなポイントを比較して購入先を決めます。
- 価格
- 配送予定日
- 商品写真
- トップレイテッドセラーのバッジの有無
トップレイテッドセラーのバッジが表示されていれば、バイヤーは安心して購入できます。
| 状態 | バイヤーへの見え方 | 結果 |
|---|---|---|
| トップレイテッド | バッジ表示あり、信頼できる印象 | 安心して購入される |
| ビロースタンダード | 検索結果での露出が低下 | 選ばれにくくなり、他セラーへ流れる |
アカウントヘルスは、バイヤーとeBay双方からの信頼の実績であり、セラーにとって売上向上のポイントになります。
トップレイテッドとビロースタンダード|好循環と悪循環の分かれ道

アカウントヘルスの状態によって、その後の売上は大きく異なります。
| 状態 | 流れ |
|---|---|
| トップレイテッド (好循環) | 1.SEO検索順位が上昇 2.売上増 3.実績蓄積 4.さらに評価向上 |
| ビロースタンダード (悪循環) | 1.検索露出低下 2.売上ダウン 3.販売制限・広告機能制限のリスク 4.評価回復のチャンスも失う |
一度悪循環に陥ると抜け出しにくくなるため、その手前で食い止めることが重要です。
ディフェクト管理の実務ポイント

ディフェクトの管理では、以下の期限を押さえておくことが重要です。
- 残存期間:最大12ヶ月(取引数が多い場合は3ヶ月のケースもあり)
- ビロースタンダードへの転落リスク:最大3つのディフェクトで発生
- 異議申し立ての期限:商品未着・返品ケースのクローズから30日以内
一度カウントされたディフェクトは、評価対象期間から外れるまで基本的に最大12ヶ月かかります。
最大3つのディフェクトでビロースタンダードに落ちるリスクがあるため、日頃からの管理が欠かせません。
また、異議申し立てにはクローズから30日以内という期限があります。
半年前の取引について削除を申請しても、システム上対応できないため注意が必要です。
ここからは、実務で押さえておきたい2つのポイントをご紹介します。
「毎週木曜日」をセラーレベル確認の日に

毎月20日の評価確定を待ってから対応するのでは、すでに手遅れになっているケースもあります。
ディフェクト付与直後、できればその前に先手を打つことが、アカウントヘルスを守るうえで重要です。
そのために推奨されたのが、セラーハブのダッシュボードを週1回チェックする習慣です。
チェックするポイントは、以下のとおりです。
- 直近1週間で数値の悪化がないか
- 新規のディフェクトが付与されていないか
- 付与されたディフェクトの内容・原因は何か
- 異議申し立てが必要な事案が含まれていないか
月に一度の評価確定を「結果を知るタイミング」として待つのではなく、日々の小さな変化を早期に察知し、都度対処していくことが重要です。
4つの評価地域|US以外も要チェック

eBayは、以下の4つの地域に分けて評価を行います。
- US
- UK
- ドイツ
- その他地域(グローバル)
ここで重要なのは、分類基準が販売サイトではなく、取引したバイヤーの居住地域であるという点です。
例えば、USサイトでオーストラリアのバイヤーが購入すれば、その取引はグローバル地域の評価に含まれます。
eBaymag経由でUS以外のバイヤーからの購入が増えている場合は、注意が必要です。
まずは「どの地域もビロースタンダードにしない」ことを目標にしましょう。
特に注意すべき2つのディフェクト

数あるディフェクトの中でも、特に発生しやすく、対応を誤ると評価に直結しやすいものが2つあります。
それが「取引キャンセル」と「ケース対応」です。
それぞれのポイントを、クイズ形式で確認していきましょう。
① 在庫切れによる取引キャンセル

バイヤーが最終的に同意していたとしても、商品に問題がなければキャンセル自体が発生しなかったはずです。
そのため、「商品都合=在庫切れ」に分類され、「バイヤー希望」を選ぶのは誤りです。
キャンセル理由には、以下の3種類があります。
- 在庫切れ
- バイヤー希望
- バイヤー住所の問題
また、以下のケースの対応方法を順守してください。
| ケース | 対応 |
|---|---|
| 商品説明と異なる状態が発覚した場合 | 取引成立前に商品ページを修正、または出品を取り下げる |
| 虚偽の理由を選択したキャンセル | ポリシー違反。販売制限につながるリスクがあるため避ける |
② ケース対応(未着・返品)
返品リクエストは、商品到着から30日以内であれば基本的に有効です。
対応期間内に返送ラベルをアップロードすることがアカウントを守るうえで重要になります。
対応が遅れてケースへエスカレーションされると、自主返金ができなくなったり、ディフェクトが付与されたりする可能性があるので注意してください。
「未着リクエスト」「返品リクエスト」
ケース対応で特に注意すべきなのが、「未着リクエスト」と「返品リクエスト」の2つです。
それぞれ対応のポイントは、以下のとおりです。
- 追跡情報のこまめな確認が重要
- 配送停止時は配送業者へ早めに原因確認を行う
- SPeed PAK利用者には、条件付きでディフェクト削除などのセラー保護が提供される
- 対応期限を過ぎた場合
- ケースへエスカレーション → 自主返金ができなくなる可能性
- ディフェクト付与のリスク
- 対応に迷った場合
- セラーポータルから早めに相談することが推奨される
質疑応答(Q&A)

セミナー終盤には、参加者からの質問に新山氏らが回答するQ&Aセッションが行われました。
政策・制度の課題を直接聞く窓口「ガバメントリレーションズ」

続いて紹介されたのが、eBayジャパン株式会社ガバメントリレーションズ部 高橋氏によるお話です。
ガバメントリレーションズとは
ガバメントリレーションズ(GR)とは、政府との関係や業界団体との窓口を務める部署です。
GRの主な役割は、以下のとおりです。
- セラーが制度・ルール・実務負担などで困っていることを直接ヒアリングする
- 政府や業界団体に対して対話を行う
- 「このルールは実務上過度な負担になっているため見直すべきではないか」などの提言を社内外で行う
現場のセラーの声を、政策や制度づくりの現場に届ける橋渡し役といえる存在です。
セラーが抱える典型的な課題
eBayのような越境販売は、制度理解から実務まで悩みが多い分野であり、特に以下のような声が寄せられています。
- 税制・通関手続き:価格への上乗せ判断など日々の悩み
- 中古品規制(古物法など):デジタル記録化によって実務が楽になるのではという意見
- 情報入手の負担:JETRO等の情報発信は新品向けが中心で、中古品に関する情報がもっと欲しいという声(すでにJETROへ伝達済み。具体的な要望があれば追加でフィードバック可能)
セラーから寄せられる「生の声」は、GR側で政策レベルに落とし込まれます。
その上で関係者と共有され、個人名は伏せた上でレポートにまとめられる運用です。
今、日本のリユース政策が注目されている
近年、日本国内ではリユース関連の政策や取り組みが活発化しています。
具体的には、以下のような動きが見られます。
- 8月8日は「リユースの日」(リユース業協会が主導、数年前から実施)
- 環境省の政策では「USED IN JAPAN」というキーワードで日本の中古品の価値が注目され始めている
- 良品を長く使い、再流通させるサーキュラーエコノミーへの貢献が重視されている
セラーは、こうした政策の中心を担う存在として位置づけられています。
だからこそ、政策と現場実務の乖離を埋めることが重要です。
「こんな支援策があれば嬉しい」「これはやめてほしい/邪魔になる」といった率直な声が求められています。
まとめ|eBayセラーミートアップで学ぶ「アカウントヘルス管理と政策動向」

今回は、eBayセラーミートアップで取り上げられた「アカウントヘルスの予防管理」と「ガバメントリレーションズの取り組み」についてご紹介しました。
- アカウントヘルスは悪化後の対処ではなく、毎週の予防管理が基本
- ディフェクトは最大12ヶ月残るため、付与前・付与直後の早期対応がポイント
- US・UK・ドイツ・グローバルの4地域すべてでビロースタンダードを回避することが目標
- キャンセル理由は「在庫切れ」を正しく選択し、虚偽理由の使用は避ける
- 返品・未着ケースは対応期限内の早めの行動とセラーポータルへの相談が重要
- ガバメントリレーションズは、税制・通関・中古品規制などセラーの声を政策に届ける窓口
次回「eBayセラーミートアップ 後編」では、EU関税制度改正・CPSC義務化に関する内容をお届けする予定です。
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菊池 駿(きくち しゅん)
株式会社Awiiin 代表取締役・eBay物販輸出のツールBee運営者
- 芝浦工業大学 数学科 卒業
- 2014~2019年:5年間中学校数学教師として勤務
- 2018年:YouTubeチャンネル「eBayライフを快適に by Bee」開設
※チャンネル登録者数”9,570人”(2025年9月時点) - 2020年:「株式会社Awiiin」設立
- 2024年:「埼玉を代表する企業100選」に選出
- 2025年:サッカーチーム「シュワーボ東京」をスポンサード
- 2025年:KEIDO 経営を極めるメディアに掲載
- 2026年:BigLife CEO Collection2026に選出(2025年に続き連続選出)
- 2026年:eBay Japanに有効ツールとして「Bee」紹介・掲載
- 2026年:ウォール・ストリートジャーナルに掲載
- 2026年:ベクトルパークと業務提携
